40歳を過ぎて「筋トレをしても筋肉が付きづらい」「太りやすくなった」「男性器が20代に比べ元気がない」という方はテストステロンの減少が関係している可能性があります。筋力や男性機能、活力を減退した方が改善する方法の一つに「テストステロン補充療法」があります。
今回はテストステロン補充療法で男性の性機能に対してどのような効果があるのか論文のメタ分析を基に解説していきます。
テストステロンとは
男性ホルモンであるテストステロンは、男性の身体と心の健康に大きな影響を与える重要な役割を果たしています。このホルモンは、男性らしい身体を形成するだけでなく、生殖機能を改善し、心の安定や集中力、記憶力の向上にも寄与します。
しかし、加齢とともにテストステロンは減少し始め、その結果として体力の衰えややる気の低下などさまざまな問題が生じることがあります。
テストステロンの研究
今回ご紹介する論文は多くの研究者や学生が利用するオンラインコンテンツサービスである、米国のWilly Online Libraryでも公開されており、分子内分泌学の臨床応用に関する学術雑誌のものです。
この研究ではテストステロン治療の効果を検証するために、平均以下のテストステロンレベルを持つ男性を対象に17の研究が分析されました。
これらの研究はプラセボとの比較を含んでおり、テストステロンが実際にどれだけ効果があるのかを評価することが目的です。研究の背景として、低テストステロンレベルが男性の健康に与える影響が大きいことが知られています。
テストステロン治療方法について
テストステロン治療には主に3つの方法があります。
- 注射による注入
- ゲルやパッチによる皮膚吸収
- 錠剤(バッカル剤)による口内吸収
注射による治療は、数週間に一度筋肉内にテストステロンを注入します。経皮的な方法では、ゲルやパッチを用いて皮膚からテストステロンが吸収されます。最後に、口腔内からの吸収を利用したバッカル製剤という方法もあります。それぞれの方法がどのようにテストステロンレベルを改善し、体にどのような変化をもたらすのかを解説していきます。
注射による注入
まず、「注射」によるテストステロン治療について説明します。この方法は、テストステロンを直接筋肉内に注射するもので、最も一般的にはテストステロンエナント酸エステルやシピオン酸エステルが使用されます。
今回のメタ分析の結果、多くの研究で低ゴナドトロピン性腺機能低下症の男性において注射によるテストステロン治療が有意な効果を示していることが明らかとなりました。また、一日あたりの勃起回数がプラセボと比較して顕著に増加し、ペニスの硬さも改善されます。
性交成功率も上昇し、具体的には勃起機能における効果サイズが1.87、成功した性交の効果サイズが1.19と報告されています。さらに、患者のオーガズムと性的満足度も向上しました。
ゲルやパッチによる皮膚吸収
次に、経皮的(トランスダーマル)テストステロン治療について見ていきましょう。これは、テストステロンを含むゲルやパッチを皮膚に適用し、そこからテストステロンが体内に吸収される方法です。
この形式は、より穏やかで持続的なテストステロンレベルの増加を提供し、日常生活における使い勝手の良さから多くの人に好まれています。経皮的治療によっても、低ゴナドトロピン性腺機能低下症の男性において性機能が向上し、夜間の勃起の品質や性的満足度が改善されることが示されています。
具体的な効果サイズについては個別の研究による詳細な報告はありませんが、性的動機や勃起品質に良好な影響を与えることが確認されています。
錠剤(バッカル剤)による口内吸収
最後に、バッカル製剤によるテストステロン治療についてです。バッカル製剤は口腔内に配置し、粘膜からテストステロンを吸収させる方法で、特に肝臓への負担が少ないとされています。
この方法も、低ゴナドトロピン性腺機能低下症の男性において性的動機および性的思考の頻度が増加し、性交の成功回数が有意に増加することが報告されています。今回ご紹介した論文のメタ分析によると、テストステロン治療は特に基準テストステロンレベルが12 nmol/l以下の男性において顕著な改善を示しています。
勃起機能の改善や性的満足度の向上が確認され、次のような具体的な数値が報告されています。勃起機能の効果サイズは平均1.87、性交成功の効果サイズは平均1.19、そして性的思考の増加に関する効果サイズは0.61から1.60に達しています。そしてこのメタ分析から、テストステロン治療を受けた男性は、治療前と比べて性的動機が約40%改善し、性交渉の成功体験頻度が約50%増加したことが報告されています。
さらには、全体的な性的満足度は約30%向上したということも明らかになり、これらのことからテストステロン治療が私たちの男性力向上に大いに効果があることが分かります。ご自身に合わせて適切なテストステロン治療を選んで、より男性力を上げるための一つの選択肢となるかも知れません。
具体的な研究結果と数字データ
このメタ分析から、テストステロン治療を受けた男性は、治療前と比べて性的動機が約40%改善し、性交渉の成功体験頻度が約50%増加したことが報告されています。また、全体的な性的満足度は約30%向上したということも明らかになりました。
これらの数値は、テストステロンレベルが特に低い(12 nmol/l以下)グループでより顕著でした。正常レベルを持つ男性にはこれらの効果が見られませんでしたが、低レベルの男性にとっては顕著な改善が確認されています。
テストステロン治療は効果あり
テストステロン治療は、低テストステロンレベルを持つ男性にとって有効な方法であることがこれらの研究から明らかになりました。ただし、効果は個人差があり、また時間が経過すると効果が減少する可能性があります。今後もさらに詳細な研究が必要ですが、適切な診断と医師の監督のもとで、これらの治療法は多くの男性の生活の質を向上させる可能性があります。
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参考論文
Effects of testosterone on sexual function in men: results of a meta-analysis